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飲食店にとって厳しい時代
日本の飲食店が苦境に立たされています。
これは今に始まったことではなく、ここ数年同じ状況が続いていますが、2018年の倒産や休廃業は1,180件で、前年比7.1%増となっています(帝国データバンク)。
この数字は、東日本大震災のあった2011年度やリーマンショック発生時の2008年度を上回り、2000年以降で最悪とのことです。
訪日客が大幅に増えているにもかかわらずこの数字というのには、少しびっくりします。
東京の都心にいると、いつもお店は混んでいて華やかな印象を受けますが、それは実は一部の人気店や立地の良いお店だったのです。
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飲食店はなぜ厳しい?
客側
そもそも飲まなくなった
飲食店といっても、実際にはお酒を提供するお店が多く、店側は手間がかからず利益率が高いお酒を飲んで欲しいのですが、そのお酒を飲む機会が減っています。
人口減少
口の数が少なくなればそれに比例して飲む量食べる量が減るので当然ですが、それに加えて高齢化も大きく影響しています。
いわゆる生産年齢人口が減ってきているので、元気な飲む世代が減っているのです。
若者
よく最近の若者はお酒を飲まないと言いますが、これは事実でしょう。
まず、若者の数自体が減っており、飲む機会そのものも減っている上に、その飲む機会があっても全く飲まないか、軽く飲む感じで終わるようです。
学生も昔ほど飲み会で無茶苦茶な飲み方はしなくなっています。
上記の通り、お店は利益率の高いお酒を飲んで欲しいのに、これでは利益率、利益額共に減ってしまいます。
実際業態別に見ても、酒場、ビアホールの倒産が最も高い構成比になっています。
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会社関係
会社でも、昔に比べ圧倒的に飲む機会が減りました。昔は上司や先輩に誘われたら、断るという選択肢がほぼありませんでしたが、今は強要したりすること自体当然できませんし、それに近い言動をすれば即訴えられる時代です。
また、前述の通り、若者が飲まないのに誘うということも憚られるものです。
遅くまで飲まない
もし飲みに行っても、二軒目に行くことも大幅に減りました。最近はカラオケ店が一軒目と二軒目両方の役割を果たすような食事を提供しているので、最初からカラオケ店に行く人もいます。
他に楽しみがある
これは年齢に関係なく、昔と違っていろいろな楽しみ方があるので、「夜は飲みに行くものだ」という感覚もありません。
外食を控える
所得は増えないが、飲食代は上がっているので、節約のため外食する人が減っているのは間違いありません。
ウチ飲みで我慢するのです。
中食の充実
コンビニ弁当や持ち帰り弁当のレベルが上がったり、いわゆる高級料理のケータリングも充実してきて、どこかで集まってパーティをするのが定着してきています。
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店側
人手不足と人件費、食材の高騰
客はいても、それを捌く店員が不足していて、満足のいくサービスが提供できなくなっています。
料理人、ホールスタッフ共に満足に確保できず、注文しても料理が出てくるのが遅いといったことがよくあります。そうすると客は離れていってしまいます。しかし早く提供しようとして手抜き料理にすると、これまた見破られてしまいます。
また、人手を確保するために時給を高くして募集しなければならないので、人件費が上がります。
そして、食材や資材も継続的に上がっているので、それを料金に反映させたいのですが、客は数十円でも値上げには敏感なので、安易にはできないのです。
その結果、値上げすれば客が減り、据え置くと利益を圧迫するという苦しい状況です。
このような状況から、営業時間も短縮さぜるを得ず、その分売り上げも減っているのです。
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後継者不足
個人店であれば、高齢になった料理人の子ども達がいないとか、いても後を継がないという理由で廃業する店もあります。
これは東京の老舗店でも多く見られます。店も客も両方が残念なのですが、やむを得ません。
マンネリ化
客側の嗜好の変化が早くなったのか、ブームが来ても去るのは早く、一時行列を作っていたお店もあっという間に閑古鳥が鳴くようなこともよくあります。
単に流行に乗るだけでは長続きしないということです。
衛生管理の厳格化
飲食店が衛生管理をすることは、当然といえば当然ですが、食品衛生法の改正により、今後どんな小規模な飲食店でもHACCPに沿った衛生管理が義務付けられます。
実際には、業界団体が作った手引書を参考にすれば良いようですが、記録に残すことを必須としているため、それだけでも今までより時間と労力はかかり、これが負担になることは間違いありません。
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差別化した少し高めの店が大量閉店
本来、どんな分野でも他と差別化し集客を図るのが普通で、飲食店でも特徴ある食事やサービスを提供することによってファンを増やしていこうと努力しています。
しかし、この特徴ある少し高めの店が苦戦しているのです。例えば、サブウェイやバーガーキングです。採算の悪い店舗はどんどん閉店に追い込まれています。
これは、日本人がこの価格帯の店を敬遠しているからです。ハンバーガーを食べたくなったらマクドナルドへ行ってしまうのです。少しでも安く上がる方を選んでしまうのです。
これはファーストフードに限らず、飲食店全般に言えることなのでしょう。日本では残念ながらデフレは続いているのです。
これで消費税が上がるとさらに悲惨なことになるのは間違いありません。
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飲食店だけではない
人口が減少する日本では、これから飲食店以外でも同じようなことが起きてきます。
どんなビジネスでも、今となっては人口が増加する時代のやり方では対応できません。
常に客を飽きさせない工夫など、人口が減ってもお客さんが増えるやり方を考えなくてはならないのです。