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税法改正
海外不動産の減価償却費計上による損益通算
令和3年分から、賃貸用海外不動産の簡便法で計算された減価償却費による赤字と、国内の給与所得等を損益通算できなくなり、このスキームを使って節税していた富裕層の間で大きな話題になりました。
損益通算
日本の税法上の所得は10種類に分類されています。
そして、その中にその所得同士の黒字と赤字を相殺できる(損益通算できる)ものとできないものが定められています。
例えば、不動産賃貸で得る不動産所得の損失と給与所得は損益通算できることになっています。
つまり、不動産所得の赤字を給与所得にぶつけて所得を減らせば、その結果所得税や住民税を減らすことができるという効果があります。
減価償却費
不動産投資において赤字ということは、一見儲かってないと見えるのですが、これには経費の中でも、実際にお金が出ていかない「減価償却費」が影響している場合が多いのです。
だから、外見上赤字でも必ずしも儲かってないわけではありません。
いずれにしても、赤字を意図的に作って損益通算することができるのです(海外の不動産については正確には、今までできていたのです)。
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日本と海外の違い
日本の不動産
しかし、日本国内の不動産投資では、減価償却できない土地(土地の価値は下がらないとされるため)の割合が高いため、大きく減価償却が取れません。
なぜなら、日本は国土が狭く、土地代の比率が高く建物代の比率が低いためです。
イメージで言うと、都心では建物8に対し土地2くらい、郊外に行くに従ってだんだん建物の比率が高くなります。
日本の木造は、だいたい30年で建て替えるサイクルなので、そもそも長く大事に使うという概念がありません。
だから、価値を維持したり、今まで以上に価値を上げるという努力はあまり見られません。
ただ、最近は日本の不動産でも減価償却費を多く取るスキームが出てきました。
海外不動産
一方、特にアメリカなどの中古戸建ては築年数が古くても普通に流通しており、特に木造の耐用年数22年を超えた物件など山ほどあります。いやむしろそちらのほうが圧倒的に多いのです
これは日本と逆で、広大な土地があるアメリカなどでは、土地代が安く、しかも建物は古くなってもリノベしながら価値を維持するため、価格自体も下がりにくいためです。
これら木造で22年を超えた海外の物件は、日本の物件同様に日本の税法では最短4年で償却できます。
数百万円、数千万円の減価償却費を4年間計上し国内の所得と相殺できるこの効果は絶大で、特に高額所得者が税金を減らす手段としては極めて容易で効率的でした。
しかしこのスキームに会計検査院が目をつけ、税の公平感を欠くとして毎年槍玉に上がっていました。
そしてついに上記の通りこのスキームにメスが入りました。
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海外不動産投資はもう終わったか?
節税が目的ではない
減価償却費を使っての損益通算が封じられたからといって、もう海外不動産投資に意味がないかといえばそれは違います。
海外不動産投資は、むしろ純投資として意味があるのです。
つまり、日本でする不動産投資同様に資本を投下しキャッシュを得ることが本来の目的なのです。
日本とは違う魅力
「日本と同様に」とは言うものの、国が変われば法律や慣習が全く違うので、日本と同じような物件、売買、管理、リスク、リターンなどを望んではいけません。
言葉や日本からの距離など大きな壁があるのは間違いありません。しかし、それらの壁を考慮してもなおやる価値があるのです。
海外不動産投資は終わるどころか、これからますますポートフォリオ形成の有効な手段なのです。
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良い業者探しが必須
海外投資用不動産の購入は、海外のブローカーや管理会社と強力なコネクションがある日本の業者に頼まなくてはいけません。
現地で売りっぱなしの日本人などからは絶対に買ってはいけません。すぐ連絡が取れなくなります。
これは、あらゆることにおいて適当な東南アジアでよく聞く話です。
距離も遠く文化も違う外国に投資することを肝に銘じましょう。
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自己責任
今さらですが不動産投資は自己責任です。もっとも、不動産に限らず投資は全て自己責任です。
業者に文句を言っても始まりません。事前の情報入手が非常に重要です。
不動産は金額が大きいので、取り返しのつかないことにならないよう細心の注意を払いましょう。