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パブリックコメント7,000件
国税庁が22年8月に出した通達改定案で、副業の収入金額が300万円以下だと原則雑所得とする、というものがありました。
※当初の改定案はこちら
300万以下の副業で大増税?
これについては様々な方面から反響があり、パブリックコメント(今回の場合は苦情)が7,000件以上も国税庁に寄せられました。
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専門家も問題視
元々8月の改定案については専門家からも問題を指摘されていました。
それは過去の判例で、事業所得の定義を下記の通り明確化しているにもかかわらず、300万円という基準を勝手に作っており、これが法の趣旨に反するというものです。
※【判例】
「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」(最判昭和56年4月24日)
その他にも、これから頑張って起業して事業を大きくしようと考えている人に対しプレッシャーを与えることになり、そういう人たちが躊躇すれば長い目で見れば税収が増えない、というものがあります。
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異例の修正
そこで国税庁はこれに素早く対応し、10月には下記の通り異例の修正をしました。
「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。」
つまり、原則と例外は下記の通りです。
原則
金額基準撤廃
一律300万円という金額によって事業所得か雑所得かの区別はしない。
帳簿書類の有無
帳簿書類を適正につけているかで区別する。
この帳簿書類がないと、収入が多くても雑所得とされるので帳簿は必須です。
例外(個別に判断される)
3年程度、300万円以下、本業の1割
帳簿を備えていても、3年程度赤字が続き、収入が300万円以下で本業の1割未満なら、それを解消する努力をしていないと見なされると雑所得とされる場合がある(雑所得となる可能性が高い)ということです。
ちなみに個人事業主も帳簿が必要です。
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やるべきこと
帳簿をしっかりつけて(しかも複式簿記で)、65万円の青色申告特別控除を受けましょう。
副業の赤字と本業を損益通算して還付を受けるのもほどほどにして、副業でも早く黒字にしましょう。
租税法律主義
いずれにせよ、租税法律主義という大原則を無視して通達などで恣意的に運用してきた国税に対し、民意が反映されたのは素晴らしいことです。
今回の修正は、上記判例を言い換えたもので、ある意味当然といえば当然です。