持家がいいのか借家がいいのかの議論
これは昔からよく議論され、おそらくこれからも議論され、永遠に結論の出ないテーマかも知れません。
しかし、持家がいいのか借家がいいのかは、その人が生きる時代によって変わってくるので、一概には言えませんが、今の時代であれば借家の方が合理的であると個人的には思います。
時代によって考え方が違う
ひと昔前
日本の人口が増え、国もどんどん成長している時は、土地の価格が上がり、また建物の価値は下がっても、土地と一体なら不動産としての価格も上がっていきました。
だから、家を買ってしばらく住んで、住み替える時も買った時より高く売れたりしました。
いわゆる土地神話がその時代にはあったのです。
ちなみにアメリカでは今もそうですし、これからしばらくの間も不動産価格については上昇するでしょう。
これからの日本
逆にこれから衰退していくことが予想される日本では、もはや不動産の値上がりは期待できません。
不動産の価格は人口の増減そのものなのです。
だから、よほどの好立地でない限り、価格を維持していくのも難しくなります。
つまり、家を買うとかなりの確率で値下がりしてしまうでしょう。
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持家
メリット
ローンを払い終えればその家が自分の物になる
これが持家派の最大のアピールポイントです。
将来年金暮らしになった時に、賃貸の家賃を払うのは負担が重いし、持家だといざとなれば売ることができるというものです。
つまり、将来にわたって資産になるというものです。
【これに対して】
マンションなどの立地が悪いと、住人がどんどん出ていき、そのうちゴーストマンションになり、住むのも大変でしかも処分もできないという状況が予想されます。
資産というのはお金を産んで初めて資産です。持家はほとんどの場合負債なのです。
夢が叶う
「マイホームを持つ」というのは、人生における一つの大きなイベントで、日本人の多くが夢見てきたことです。
そしてその夢を実現できたという充実感は、他ではなかなか味わえないものでしょう。
この夢はいつの時代も同じなのかも知れません。
【これに対して】
わからないではないです。
精神的な幸福度のアップ
家を買うと、ローンを払い終えれるまでは金銭的には苦しくなるかもしれませんが、精神的な幸福度、満足度は計り知れません。
特に人が羨むような素敵な家であれば、自慢もしたくなり気持ちはいいものです。
【これに対して】
持家の本来の意義はここにあるとは思います。
家を担保にお金を借りることができる
自宅の担保価値がそれなりにあり、さらにそれを使えるくらいローンを返済していれば、自宅を担保にお金を借りて他の投資案件に使えます。
条件は付きますが、これが自宅を有効に使える唯一の方法です。これで初めて自宅を「資産」と呼べるのです。
【これに対して】
既に買ってしまった人はこの手を使うべきです。
人に貸すことができる
転勤などにより自宅を使わなくなった時は他人に貸すことができます。
【これに対して】
仲介業者に仲介料を払い、ほとんどの場合、満足な家賃を受け取れないと聞きます。
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デメリット
金銭的なプレッシャー
・頭金等
まず最初の持ち出しが非常に大きいです。
頭金から始まって、不動産取得税や火災保険など、思った以上に最初に現金が必要です。
できればこの辺りの諸費用もローンを組みたいとこです。
・ローンの支払い
ほとんどの人はローンを使って家を買うと思いますが、このローンが家計に重くのしかかり、欲しいものややりたいことも我慢しなければいけないのです。
夢を叶えたのだから当然といえば当然ですが、この苦しさは実際に買ってみないとわかりません。
・ランニングコストも必要
家を買うとローンの支払いの他に毎年の固定資産税や、自然災害による破損や不具合があった時の修繕費もバカになりません。家に関するコストはとにかく値が張ります。
ある程度の蓄えと、しっかりとした火災保険に入ることが必要です。
・持家があることによる公的支援の却下
例えば家は資産とみなされるため、相当のローンが残っていても、贅沢品だと判断されれば、行政の支援が受けられないこともあります。
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老朽化
土地は基本的に劣化しませんが、建物は確実に劣化していきます。
現在既に問題になっている空き家の増加は、今後ますます深刻になっていきます。
前述の通り、老朽化した建物の処分は大変です。
移動を制限される
・自然災害
一箇所に定住するのは一定のリスクを伴います。特に昨今自然災害の規模、頻度ともに昔とは比べものにならないレベルになっています。
逃げたくても自宅があるために逃げられない、その結果命を落とすというようなことがあり得るのです。
・住みにくい日本
また、自然災害以外でも、重税感が増し住みにくくなる日本を脱出したくても、家があることにより制限されてしまいます。
一番怖いのは相続税
数年前に相続税法が改正され、基礎控除額が減りました。以前の基礎控除額は、5,000万円と法定相続人一人あたり1,000万円の和だったのが、現在は、3,000万円と法定相続人一人あたり600万円の和となっています。例えば、相続人が二人であれば、原則として4,200万円が基礎控除額です。
そうすると、都内に家を所有しているだけで、この基礎控除額を超えてしまう可能性も大きくなります。
たとえその家がボロボロでも、それなりの地域にあればそれなりの評価をされてしまいます。
せっかくローンを払い終えて自分のものになっても、結局それがあだになることがあるのです。
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借家
基本的に持家のメリットが借家のデメリットであり、持家のデメリットが借家のメリットです。
メリット
自分のものではないのでとにかく気楽
台風が来て家が飛ばされようが、地震が来て家が壊れようが、命さえ守れればほとんど心配しなくていいです。
そしてもし壊れたら、当然直すのは大家です。ちょっとでも不具合があれば修繕の依頼をします。
借地借家法による保護
日本の借地借家法は、基本的に賃借人が有利になっています。
例えば家賃を何か月か滞納しても、賃貸人は賃借人をすぐ追い出すことはできません。
「信頼関係破壊理論」といって、賃貸人と賃借人双方の信頼関係が破壊されたと認められるくらいのレベルでなければ、追い出したり、契約を解除できないのです。
これは常識からすると奇異な感じもしますが、とにかく賃借人が保護されているのです。
ちなみにアメリカなどは賃貸人が有利な法律になっており、2か月の滞納で即追い出されることもあるようです。
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移動が制限されない
借家がある地域やその建物の住人などに困った人がいて嫌になれば、いつでも出ていくことができます。
また、積極的に日本中、いや世界中の好きな場所へ移住することも可能です。
今後は借り手市場になる
日本の住宅事情を考えると、今後は借り手市場になることが予想されます。
田舎は言うに及ばず、都会でも物件の供給が多くよほどの好立地でないと借り手のわがままが通せる時代になります。
今後はおそらく地価が下がっていき、家賃も下落していくでしょう。もちろん借り手側からも家賃の減額交渉をします。
リースバック
ちょっと特殊な方法として、現在の持家を売って、家賃を払いながらそのまま借家としてその家に住む方法です。
実際問題として、相場より安く買い取られ、相場より高い家賃を取られることになりますが、これであれば、所有権を手放しても家賃を払えば、引き続き愛着のあるその家に住めるというメリットがあります。
もちろん固定資産税も取られません。
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デメリット
家賃を払っても自分の所有物にならない
いつも借家のデメリットのトップに上がるのがこれです。
逆に言えば、不動産としてのデメリットはこの家賃に吸収されている、つまり家賃さえ払えば面倒なことも回避できるのです。
建物のグレードが低い
賃貸用と分譲用のマンションでは、明らかに建物や設備のグレードが違いますが、分譲用のマンションも賃貸用として提供されていることがあるので、よく探してみることです。
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そもそも両者は比較できない
双方のメリット、デメリットを書いてきましたが、そもそも両者の優劣をつけること自体がナンセンスです。
お金に換算できない価値もあるからです。
どちらが得か損かも厳密には計算できません。
ただ、諸々を総合的に考えると今の時代は「賃貸」という結論です。