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コロナ禍で勝ち組も
コロナ禍においては、大打撃を受けた飲食店が多かったのですが、持ち帰りが基本のパン屋さんは勝ち組と言っていいと思います。
しかし、コロナ禍が2年以上続いた今になってバタバタと潰れる現象が出始めました。
一体これはどういうことでしょうか。
本来は儲かる業態
言い方は悪いですが、ほぼ小麦粉を膨らませて作るパンを売る商売は、本来は儲かる業種です。
樹脂を溶かした後、膨らませたり加工して付加価値を付けて売るプラスチックとよく似ています。
だから、参入者が多く、その分潰れる店も多いのですが、新規出店する店がそれよりも多く、数字上はパン屋さんは増えています。
本来儲かるにもかかわらず潰れるということは、立地が悪いとか、原材料費が異常に高騰したとか、人件費など固定費の占める割合が大きくなった等が理由に考えられます。
もっともパンそのものが不味ければそもそも別の話ですが。
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従業員に厳しい業態
パン業界は社員やパートなどの従業員に厳しい業界です。
というのは、小規模店では労働時間の管理がされていないところが多く、いわゆるサービス残業が常態化しています。
単なる売子じゃなく、本格的にパン作りを学びたい人にとっては、製菓業界同様に、やりがいがあるから我慢できるはずという、いわゆる「やりがい搾取」が横行しています。
結果として従業員は長続きしないのです。
つまり、いかに労働環境を整備するかもそのお店の発展に大きく影響します。
生き残りにはコスト削減が大前提
この業界で生き残っていくには、パンが美味しいのは当たり前で、いかにコストを削減するかにかかってきます。
つまり徹底した合理化が必要なのです。
比例費
小麦粉など原材料費は相場によるところが大きく、大きなコストカットは望めません。
下手に納入業者にコストダウンを要求すると、供給を受けられなくなることもあるので注意が必要です。
最近の小麦粉などの高騰は非常に頭の痛いところでしょう。
固定費
比例費の削減が難しいとなると、人件費、家賃、光熱費、設備費などの固定費を削るしかありません。
しかし、これらを削るのもそう簡単ではありません。最近はむしろこれらも上昇しています。
何かに手をつけると必ずその副作用が出てきます。
ではどうしたらいいのでしょうか。
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焼成設備を変える
通常、パンを焼くのは、「平釜」と呼ばれる釜ですが、これを思い切って「スチコン」(スチームコンベンションオーブン)に変えるのも一つの案です。新店なら最初から導入すべきです。
スチコンを使うことによるメリット
・焼成の自動化
今どきのスチコンは素晴らしい機能をそろえており、時間、温度、湿度などをセットしておけば、ほぼ何もしなくても焼き上げてくれます。
これが通常の平釜だと、人が目視で焼き具合をチェックして機械の調整が必要ですので、放っておくことができません。
放っておければ、他の仕事に時間を使えます。
結果、人員を最小限にでき、時短にも繋がります。
・素人でも焼ける
上記の通り、スチコンの設定さえしっかりやれば、高いスキルなど不要なので、昨日今日入った新人にでも任せることができます。
つまり、シェフはレシピを考えたり試作するなどに専念することができ、時間を有効に使えるのです。
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・同時に数種類のパンを焼ける
スチコンの同じ庫内で違う種類のパンを焼くこともできます。
素人にはちょっと想像しづらいのですが、パンを置く場所によって設定を変えることができ、焼き方を調整できます。
その結果、多品種小ロット生産に対応できます。
・具材も作れる
今はパン作り専用のスチコンもありますが、それでも調理パンに入れる肉など具材の調理もできます。
そうすればスチコンを遊ばせておく時間が短くなる、つまりさらに時間と場所を効率よく使うことができるのです。
平釜のオーブンで具材を作るのは難しいのではないでしょうか。
・省スペース化
平釜は幅が広くかなり場所をとりますが、スチコンの場合、幅、奥行き、高さ全てにおいてコンパクトなので省スペース化できます。
更にサイズも4種類くらいあり、店のサイズや販売量に応じて選択できます。
また、上下に2台重ねたり、最初から背の高い大型のサイズを選ぶこともでき、空間も有効に使えます。
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・室温上昇の低減
平釜はそれ自体が熱くなり、当然に室温が上がります。夏はそうでなくても暑い部屋が蒸し風呂状態になります。
それをエアコンで冷やそうとするため、相応の電気代がかかります。
スチコンの場合、蒸気は出ますが、スチコン自体はそこまで熱くなりません。平釜とは全く違うと言っていいでしょう。
つまり、光熱費の削減、労働環境の改善につながるのです。
・洗浄
スチコンは自動洗浄、平釜は手で洗浄と、ここでも大きな差が出ます。
洗浄時間30分としても、毎日のこの時間と労力は大きな差となります。
他と同じではダメ
前述の通りパンそのものが美味しいという条件は当たり前ですが、プラスそこにはやはりこだわりが必要です。
小麦粉、水、塩、砂糖などの原材料や、調理パンであれば具材など。
また、味だけでなく匂いや食感も重要な要素となるため、焼き方、焼き加減も非常に大切です。
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大量調理、大量消費の時代は終わっている
人口が減少していく日本では当然胃袋の数も減っていきます。
だから、とにかく量を作るという時代はとっくに終わっています。
数を追い求めるのは、大手のパンメーカーに任せて、個性でそれ以外の無数のライバルと戦う方法を考えなければならないのです。