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先進国であることの安心感
投資用不動産を持つ場合、リスク・リターンによって先進国、新興国など投資先が分かれてきますが、ローリスク・ローリターン、そして安心安全な投資先といえば、やはり日本やアメリカなどの先進国です。
しかし、国によって全く業界や法律が異なるので、それぞれどんな特徴があるのかを理解する必要があります。
もっと言えば、その国でも地域によって全く状況が違うので注意が必要です。
特にアメリカは国土が広く、しかも合衆国であり、法律も州毎に異なります。だから、むしろそれぞれ別の国と思った方がいいのです。
ここでは世界一の先進国アメリカと日本の投資用不動産を比較してみます。
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建物の価値
アメリカ
新築が極端に少なく、逆にほとんど中古物件が流通の主です。
中古といっても築10年、20年というレベルではなく、木造でも築40年、 50年は当たり前、築100年であってもリノベーションして普通に流通しています。
ちなみに筆者所有の最古物件は、1880年築です。
これは地域によりますが、日本ほどの湿気がない地域では、しっかり整備すれば木造でも十分保ってしまうのです。そして価値も下がりません。
ここでは「建物が古いから安い」という公式は成り立ちません。
だから、日本人投資家はあえて古くて物件価格の内建物比率が8割や9割と高い物件を買って、減価償却を大きく取って節税するというスキームが長年行われてきました。
もっとも、このスキームは以前から国税が問題視しており、実際2020年を最後に封じ込められました。
日本
日本では木造は30年で壊してしまいます。いくら高温多湿といってももったいな過ぎます。
もちろんちゃんとした建物なら50年以上普通に保つのですが、みんながその価値を認めないので、壊さざるを得ないのです。
ちなみに税法上の木造の法定耐用年数は22年です。22年で価値はほぼゼロになってしまうのです。
だから「古い」木造だと土地だけの価値になってしまい、建て替えを前提に購入する必要があります。
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人口動態
アメリカ
移民の国アメリカは、先進国では数少ない人口増加国です。
2020年で約3.3億人と言われていますが、4億人も時間の問題でしょう。
住宅は基本的に不足しており、需要は今後も旺盛だと予想されています。
日本
日本は言わずと知れた人口減少国で、東京でさえも人口減少に突入しており、アメリカとは全く状況が違います。
これはもう誰も変えることはできません。
空家も激増しており、にもかかわらず新築の戸建やアパート、マンションが次から次へと出現しています。
投資家にすると、空室と家賃下落が大きな悩みの種です。
もはや日本での賃貸事業は斜陽産業という認識が必要です。
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家賃
アメリカ
投資に適した場所なら、テナントが退去して新たに募集をかける際、家賃を下げて募集するということは普通はありません。
最低でも現状維持か、普通は上げます。
また、極端に言えば毎年家賃を上げることもあります。
それは需要が旺盛だからできることなのです。
だから家賃を上げて募集しても、ほとんどの場合即テナントが決まります。
それでテナントが決まらないのは、余程立地が悪いのでしょう。
今の日本では考えられませんが、インフレが当然のアメリカでは家賃が上がるのも当然なのです。
そして売買についても、売主が提示する価格より高い価格で実際に取引が行なわれることも普通です。
これも日本ではあり得ないですが、良い物件はオークションになってしまうのです。
日本
日本の場合は、新築プレミアムといって、新築の物件の家賃は中古より当然に高いので、経年によって家賃の下落を見込んでおかなくてはなりません。
空室が出た場合も部屋を埋めるため家賃を下げたり、家賃以外の付加価値をつけて募集しなくてはいけません。
人口の増減の違いに加え、基本的にインフレのアメリカとデフレの日本との差がここに大きく現れます。
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住宅事情
アメリカ
アメリカに住む人は7年に1回家を買い換える、と言われています。
人生のステージに応じて何度も家を買い換え、時には規模を大きくしたり、時には小さくしたりと。
また、住宅を売却した際に生じた利益に対して税金が優遇される制度があり、納税が先送りされるので、どんどんアップグレードしていく人が多いようです。
つまり、不動産でありながら流動性が高い状態にあるのです。
そしてこれは賃貸でも同じことが言え、いろいろなステージの人が家を探すので、余程特殊な形状や豪華な家じゃない限り、パイは大きく賃貸付けもスムーズにいくことが多いのです。
日本
日本では、住宅は一生に一度の買物のような人生で最も大きなイベントの一つと思われています。
自分名義の家を持つのが夢であり、持って一人前というイメージさえあります。
そしてめでたく購入したら、購入時に借りた住宅ローンを返すために毎日せっせと働く構図です。
だから、その買った家をすぐ手放すというのは普通では考えにくいのです。
賃貸でもこれが大きく影響しており、需要が高い物件は圧倒的にワンルームなのです。
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不動産価格
アメリカ
リーマンショックで暴落した不動産価格は、徐々に回復し、既にリーマン前を上回っています。
基本的にアメリカの不動産価格は上がる方向なので、リーマンショックのような危機があって一時的に価格が下がっても、その後は見事に回復します。
だから、暴落した時に買える投資家は大儲けできます。これは株についても同じことが言えます。
物件価格が上がり、家賃も上がる。つまり、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を享受できる可能性が高いのです。
日本
日本の不動産価格も昔は「土地神話」があり、土地の価格は上がり続けると思われていましたが、それも今は昔、バブルで完全に消滅しました。
そして、バブル崩壊以降低迷を続け、少し上昇したかと思ったら、リーマンでまた下がり、徐々に回復している途上ですが、バブル期には到底及びません。
それでも都心のマンションは値上がりしており、一方で家賃は上がらないため利回りがどんどん悪くなっています。
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透明性、公開性
アメリカ
不動産取引については世界一と言ってもいい透明性があります。また、「Zillow」や「Redfin」を使えば、素人でも物件の客観的な価格や取引事例などを簡単にネットで確認できます。
また、今のところ売るつもりはない自宅や投資物件も大まかな価格を調べることができるので、売却のタイミングを図ることができます。
つまり、みんなの監視の下、不動産の価格が適正に維持されているのです。その結果、前述の通り古いから安く買えるというチャンスもかなり珍しくなるのです。
日本
日本では不動産業界そのもののイメージが悪く、透明性もアメリカに比べれば全然ダメです。
素人の無知につけ込んで、不動産を買い叩いたり大幅な利益を乗せて売るなんてことが普通にまかり通っています。
素人が入手できる情報が少な過ぎるのです。
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賃貸人、賃借人どちらに優位か
アメリカ
賃貸人、つまり大家に有利な法律ですので、家賃の滞納があれば即追い出せたりします。
しかし、コロナによって家賃が払えない人を保護する趣旨で、しばらくの間賃貸人は家賃滞納中の賃借人つまりテナントを追い出せない状況です。
筆者も数ヶ月にわたってこの犠牲になっており、テナントより先にこちらが撤退しなければならないかもしれません。
日本
日本では、借地借家法によって賃借人が守られており、少々家賃を滞納しても追い出されることはありません。
「信頼関係破壊理論」といって、両者の信頼関係が完全に破壊されたと認められない限り、賃借人を追い出すことはできません。
しかも訴訟によるため、手間も費用もかかります。
だからアメリカに投資すべきか?
上記から、絶対に日本がダメでアメリカが良いということもありませんし、今後のことは誰にもわかりません。
しかし最低限上記くらいの知識なしに投資するのはリスクが高すぎます。
これはどんな投資も同じです。